「今年は働き方改革断行の年」、安倍首相が決意表明
安倍首相は新年5日、経済三団体(経団連、経済同友会、日本商工会議所)の賀詞交換会において、経済界に、昨年に引き続き賃上げを要請したということです。その中で「今年は働き方改革断行の年」とし、昨年末に示した「同一労働同一賃金ガイドライン案」に裁判での強制力を持たせるよう法改正案を国会に提出する、時間外労働の上限規制を実施するため労働基準法の改正案を国会に提出する、といった具体的な目標も掲げつつ、働き方改革への強い決意の述べました。
同賀詞交換会後の記者会見で、経団連の榊原会長は、会員企業に対して引き続き年収ベースでの賃上げを求める意向を示すとともに、同一労働同一賃金の実現、長時間労働の是正といった働き方改革については、「経済界としても重要な課題として取り組んでいきたい」と述べたとのことで、重点政策である働き方改革、動向に注目です。
確認のため、関連資料のリンクを紹介させていただきます。
・同一労働同一賃金ガイドライン案
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf
・働き方改革に関する特命委員会中間報告
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/133869_1.pdf
厚労省、平成29年1月対応の労働者派遣事業関係資料を公表
本年1月から、改正育児・介護休業法等が施行され、「妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とするハラスメントの防止措置」を講ずることが義務化されます。この防止措置に関する規定は、派遣労働者にも適用されることが明確にされており、「派遣先で就業する派遣労働者については、派遣先も事業主とみなして、防止措置義務を適用する」こととされています。また、この改正に合わせて、「事業主による育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いの禁⽌規定を派遣先にも適用する」こととされました。
今回、このような改正を反映させた労働者派遣事業関係資料が公表されました。派遣元から受け入れている派遣労働者だからといって、いわゆるマタハラなどが許されるということはありません。派遣先ではそのような注意喚起が必要かもしれません。
詳しくは、こちらをご覧ください
・労働者派遣事業関係業務取扱要領・様式・各種報告書
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/
改正概要はこちら
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/dl/kaiseigaiyou.pdf
産業医の巡視頻度・100時間超時間外該当者の情報提供改正(案)
産業医業務にかかわる労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案がパブリックコメントに公開されました。
改正内容の主なものは次のようになっています。
1.産業医の作業場等の巡視頻度について
衛生管理者から産業医に巡視結果等が提供される場合で、かつ事業者の同意がある場合は少なくとも2月に1回とする。
2.時間外が1月100時間超の労働者に関する産業医への情報提供について
毎月1回以上行うこととされている労働時間の算定で、1週間当たり40時間を超える時間外労働が100時間を超えた労働者の氏名とその超えた時間に関する情報を事業者は産業医に提供するものとする。
3.各健康診断の結果に基づき医師または歯科医師への情報提供について
医師または歯科医師が各健康診断の結果に基づき労働者から意見聴取する際に必要となる情報の提供を求められた事業者はこれを提供するものとする。
この改正にかかる意見募集は、平成29年1月26日までです。
詳細は、以下のURLからご覧いただけます。
パブリックコメント「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案に係る意見募集について」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160333&Mode=3
マイナンバー社会保険関係届出書(H29.1月より)
平成29年1月からの健康保険・厚生年金の届出書の資格取得届の様式が厚労省のHPに公開されました。
健康保険組合加入の事業主用の様式は、個人番号記載欄と基礎年金番号記載欄があり、年金機構への届出書については、マイナンバーの記載は任意とされています。
協会けんぽ・国民健康保険組合加入の事業主については、従来の届出書を使用するようになっています。
また、個人番号を記載する予定の届書等一覧に51種類の届出書が公開されており、それによると現段階で事業主経由の届出書は資格取得届のみとなっています。
厚労省HP
「マイナンバー制度(公的年金関係)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000146740.html
「個人番号を記載する届書等一覧」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/ichiran.pdf
厚生労働省、「過労死等ゼロ」に向け緊急対策を公表
今月26日、厚生労働省は、違法な長時間労働があった大企業に対し、行政指導段階での企業名の公表基準を引き下げることなどを盛り込んだ緊急対策を公表しました。
緊急対策では、違法な長時間労働を許さない取組の強化、メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化、社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化を図ることとしています。
具体的には、
・実労働時間と自己申告時間がかけ離れないように企業に実態調査を求める。
・悪質な企業名の公表(行政指導段階での企業名の公表)を拡大する。
・長時間労働が複数の事業所で行われている企業に対しては、労働基準監督署が会社幹部に健康管理やメンタルヘルス対策などについて指導し、実際に改善されたかどうかは全社的な立ち入り調査で確認する。
・複数の精神障害の労災認定があった場合には、企業に対しパワハラ防止を含めて個別指導を行う。
といった対策を講ずることとされています。
厚生労働省は、省令や通達を改正し、来年1月から順次、この緊急対策を実行に移すとのことです。
〔参考〕行政指導段階での企業名の公表の拡大
・昨年5月に導入された現行の公表の基準⇒1年間に3事業所で、10人以上または4分の1の従業員に月100時間超の違法な長時間労働があった場合(過労による労災認定についての基準はなく、これまでに公表されたのは1社のみ)
・今回の見直し⇒長時間労働の基準を月80時間超に引き下げ、事業所数も年間2か所とする。また、複数の事業所で過労が原因の労災が認定された場合も、新たに公表の対象に追加。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第4回 長時間労働削減推進本部 報告>
・「過労死等ゼロ」緊急対策
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000147158.pdf
厚労省が公的年金業務等に関する事務の特定個人情報保護評価(全項目評価書(案))についてパブリックコメントで意見募集を始めました
厚労省が公的年金業務等に関する事務の特定個人情報保護評価(全項目評価書(案))についてパブリックコメントで意見募集を始めました。
それによると、11から12月に機構が保有している住民票コードにより、地方公共団体情報システム機構に個人番号を照会し、入手した個人番号と基礎年金番号の紐付けを行い(初期創成)、平成29年1月以降は20歳到達者について月次で紹介を行い随時紐づけていくとされています。
また、平成29年1月以降は、ねんきんネットの画面で個人番号収録状況を通知するとともに被保険者や年金受給権者等が個人番号を使用して加入記録や保険料納付記録等の照会等もできるとされています。
協会けんぽへの紐づけ情報の提供は平成29年2月から、電子媒体での提供とされています。
被用者年金の資格取得の際の事務の流れについては、スライド№17に掲載があり、個人番号については事業主からの取得はないことが確認できます。
意見募集は平成29年1月21日までとなっています。
パブリックコメント「特定個人情報保護評価書(全項目評価書)(案)」に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160326&Mode=3
全面施行の期日が決まった改正個人情報保護法のポイント
改正個人情報保護法(平成27年改正)の施行期日が閣議決定され、「平成29年5月30日」とされたことをお伝えしたところですが、今一度、押さえておきたい改正ポイントを紹介させていただきます。
<改正個人情報保護法のポイント>
●個人情報の定義の明確化
・個人情報の定義の明確化(新たに顔認識データといった身体的特徴などを個人情報として明確化)
・要配慮個人情報に関する規定の整備(「要配慮個人情報」とは、人種、信条、病歴など不当な差別、偏見が生じる可能性のある個人情報のこと。原則として本人の同意を得ることを義務化)
●適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保
・匿名加工情報に関する加工方法や取扱い等の規定の整備(「匿名加工情報」とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工したもの。いわゆるビッグデータの有効活用が狙い)
●個人情報の保護を強化(名簿屋対策)
・トレーサビリティの確保(第三者提供に係る確認及び記録の作成義務)
・不正な利益を図る目的による個人情報データベース提供罪の新設
●本人同意を得ない第三者提供(オプトアウト規定)の届出〔平成29年3月から受付け〕、公表等の厳格化
●利用目的の変更を可能とする規定の整備
●取扱う個人情報が5,000人以下の小規模取扱事業者への対応(適用拡大)
その他、個人情報の取扱いのグローバル化への対応なども図られます。
特に、小規模取扱事業者への対応には注意したいところです。これまでは取り扱う個人情報が5,000人以下の小規模取扱事業者であるために適用されてこなかった個人情報保護法における規制が、来年の5月30日からは適用されることになります。適切な対応が迫られますので、準備を怠らないようにしましょう。
〔参考〕経済産業省から中小企業向けの説明資料が公表されています。平成27年の改正当時の資料ですが、今一度、確認しておくとよいかもしれません。
・改正個人情報保護法の概要と中小企業の実務への影響(説明資料)
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/01kaiseikojinjoho.pdf
同一労働同一賃金のガイドライン案が公表
今月20日、総理大臣官邸で第5回「働き方改革実現会議」が開催され、かねてから話題の「同一労働同一賃金の政府のガイドライン案」について議論が行われました。その案が固まったとのこので、ホームページ上で公開されました。
会議の冒頭、安倍首相は、今回の同一労働同一賃金のガイドライン案の趣旨を次のように述べたというです。
・基本給が、職務に応じて支払うもの、職業能力に応じて支払うもの、勤続に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。
正規労働者と非正規労働者の間の不合理な待遇差を認めないが、我が国の労働慣行には、十分に留意したものとした。
・また、その対象も、基本給、昇給、ボーナス、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生もカバーしている。
中小企業の方にも分かりやすいよう、問題とならない例、問題となる例として、事例も多く取り入れた。
今後、このガイドライン案を基に、法改正の議論を行い、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正に向けた作業に入る見込です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第5回働き方改革実現会議資料>
・同一労働同一賃金ガイドライン案
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf
持ち帰り残業が原因で自殺、解決金4,300万円の支払いで調停成立
報道各社で取り上げられていますが、大手英会話教室の当時20代の女性講師が自殺し、遺族が運営会社に約9,100万円の損害賠償を求めた訴訟について、今月20日、大阪地裁で調停が成立したということです。
調停の内容は、会社側が過労自殺を認めて解決金4,300万円を支払うほか、再発防止策も約束するというものです。
女性講師は2011年春に入社し、地方のスクールに勤務していましたが、退社後も自宅で長時間にわたってレッスンの準備などに追われた結果、精神的に追い詰められ、同年6月、自宅マンションから飛び降り、亡くなったということで、労災認定もされていました。
この事案では、パワハラが行われていたという訴えもあったとされており、相当に思わしくないケースだったかとも考えられますが、業務による過労自殺については、とにかく厳罰化の傾向にあります。従業員を守ることはもちろん、会社を守るためにも、この訴訟で問題となった「持ち帰り残業」のような働き方にも注意が必要ですね。
〔参考〕下記のような厚生労働省の通達もあります。
「使用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の勤務時間内に処理できないと認められる場合の如く、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を超えて勤務した場合には、時間外労働となる。」(昭和25年基収2983号)。
……「持ち帰り残業」も、実態によっては、時間外労働(労働時間)として取り扱われるということになります。
年金改革法が成立 改正規定と施行時期
今月14日、国会での与野党の激しい攻防の末、年金改革法案が成立しました。
成立した年金改革法(正式名称は「公的年金制度の維持可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」)には、①年金額の改定ルールの見直し(マクロ経済スライドの強化)、②短時間労働者への適用拡大の促進(労使合意を要件として従業員500人以下の企業にも適用)、③国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除制度の導入などが盛り込まれています。
将来の年金制度を維持するためとはいえ、①により高齢者の年金がさらに抑制されることから、野党(一部を除く)が激しく反対していました。今後、法律に定めらた施行日から、順次、実施されることになります。
<改正規定と施行(実施)時期>
①年金額の改定ルールの見直し(アは平成30年4月、イは平成33年4月施行)
公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、年金額の改定に際して、以下の措置を講じる。
(ア)マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で 前年度までの未調整分を含めて調整。
(イ)賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底。
②短時間労働者への適用拡大の促進(平成29年4月施行)
500人以下の企業も、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡大を可能とする。
※501人以上の企業等を対象に、平成28年10月から適用拡大を実施することは既に法定化。
③国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除(平成31年4月施行)
次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料を免除し、免除期間は満額の基礎年金を保障。
この財源として、国民年金保険料を月額100円程度引上げ。
④その他
(1)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織等の見直し(平成29年10月(一部公布日から3月以内)施行)
(2)日本年金機構の国庫納付規定の整備(公布日から3月以内施行)
<公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案>
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/190-26.pdf
注)短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進の実施日は、平成28年10月から「平成29年4月」に変更されています。