佐賀県・佐賀市 社労士(社会保険労務士)

Menu

平成30年1月1日 改正職業安定法が施行されます

平成 29 年3月 31 日に職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立し、平成30年1月1日施行されます。

労働者を募集する企業の皆様は、労働条件の明示等について、留意が必要です。

ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、下記のように労働条件を明示しなければなりません。

明示は、書面の交付によって行いますが、求職者が希望する場合には、電子メールによることも可能です。

 

<最低限明示しなければならない労働条件等>

◎業務内容
◎契約期間
◎試用期間 ☆
◎就業場所
◎就業時間
◎休憩時間
◎休日
◎時間外労働…裁量労働制を採用している場合はその旨を記載 ☆
◎賃金月給…固定残業代を採用する場合はその旨を記載 ☆
◎加入保険
◎募集者の氏名又は名称 ☆ … 派遣労働者として雇用する場合はその旨を記載 ☆

☆改正により追加等された事項

 

また、当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示しなければなりません(職業安定法改正により新設されました)。

変更明示は、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。

その他詳しい改正のポイントは、下記のサイトを参照してください。

 

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf

平成29年度の最低賃金が変わります

佐賀県における地域別最低賃金は、平成29年10月6日から「時間額737円」(22円アップ)になります。

詳しくは下記の佐賀労働局HPをご覧ください。

http://saga-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/

 

支払われている賃金が最低賃金以上となっているかどうか、以下の計算方法で確認できます。

【最低賃金の計算方法】

1. 時間給の場合 時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)

2. 日給の場合  日給÷1日の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

3. 月給の場合  月給÷1か月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

4. 上記1、2、3が組み合わさっている場合

例えば、基本給が日給で各手当(職務手当など)が月給の場合
①  基本給(日給)→2 の計算で時間額を出す
②  各手当(月給)→3の計算で時間額を出す
③ ①と②を合計した額 ≧ 最低賃金額(時間額)

 

 

 

6月施行 産業医制度見直しへ

平成29年6月1日より、労働安全衛生規則等の一部が改正されます。

健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供

事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければなりません。

長時間労働者に関する情報の産業医への提供

事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければなりません。

産業医の定期巡視の頻度の見直し

少なくとも毎月1回行うこととされている産業医による作業場等の巡視について、事業者から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供されている場合であって、事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2月に1回とすることが可能になります。

「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000154537.html

平成29年度の雇用保険料率が引き下がります

「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が平成29年3月31日に国会で成立しました。

平成29年4月1日から平成30年3月31日までの雇用保険料率は以下のとおりとなります。

• 失業等給付の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに1/1,000ずつ引き下がります。
• 雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、引き続き3/1,000です。

平成29年度の雇用保険料率

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000159618.pdf

働き方改革実現会議 残業上限の具体的な時間数を示す

平成29年2月14日、第7回目の「働き方改革実現会議(議長:安倍首相)」が開催されました。
今回の実現会議では、働き方改革の柱の一つである「時間外労働の上限規制」について、法改正の方向性として、具体的な時間数が示されました。

<今回示された法改正の方向性の概要>(内閣官房働き方改革実現推進室 事務局案)
(1)原則として36協定による時間外労働の限度を「月45時間、かつ、年360時間」とする。
→上限は法律に明記し、上限を上回る時間外労働をさせた場合には、次の特例の場合を除いて罰則を課す。

(2)特例(臨時的な特別の事情がある場合)として、労使が合意して36協定を結ぶ場合においても、上回ることができない年間の時間外労働の時間数を「年720時間(月平均60時間)」とする。

(3)上記(2)の年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける。

(4)月45時間を超えて時間外労働をさせる場合について、労働者側のチェックを可能とするため、別途、臨時的に特別な事情がある場合と労使が合意した協定を義務付ける。

これまで限度基準(大臣告示)に規定されていた内容を法律に明記し、罰則も設け、さらに、上限の時間数も明確にするという改正案です。

おおむね、これまでの方針とおりですが、いわゆる繁忙期の上限(上記(2)の部分)については、具体的な時間数は示されませんでしたが、使用者団体としても受け入れる方針で進んでいきそうです。
その上限や除外業種の在り方などが、今後の議論の中心となりそうです。
詳しくはこちらをご覧ください。

<第7回 働き方改革実現会議 資料>
・時間外労働の上限規制について(事務局案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai7/siryou2.pdf

〔参考〕働き方改革のテーマは多岐にわたります。今回の実現会議では、塩崎厚生労働大臣から「高齢者の就業促進について」の資料も提出されています。
このようなテーマの動向にも注目です。
・塩崎大臣提出資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai7/siryou8.pdf

協会けんぽ 保険料率の変更を決定

全国健康保険協会から、一般保険料率(都道府県単位保険料率)及び介護保険料率の変更を決定したとのお知らせがありました。
先日、全国健康保険協会の運営委員会において案が固まった段階でお伝えしましたが、その案のとおりの変更となっています。

<変更の概要>
・都道府県単位保険料率については、平均10%は維持。
→引き上げとなる支部(24支部)、引き下げとなる支部(20支部)、変更がない支部(3支部)
例)東京都: 9.96%→「 9.91%」
大阪府:10.07%→「10.13%」

・介護保険料率(全国一律)は、1.58%から「1.65%」に引き上げ
平成29年3月分(4月納付分)から変更後の保険料率が適用されることになります。

各都道府県における保険料率などについて、こちらでご確認ください。
・平成29年度の保険料率の決定について
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g3/cat330/sb3130/h29/290210

なお、都道府県単位保険料率の内訳(特定保険料率と基本保険料率)、日雇特例被保険者の保険料額、船員保険の保険料率まで確認しておきたい方は、こちらをご覧ください(平成29年3月1日から適用される全国健康保険協会の定款です)
・定款(平成29年3月1日から)
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/other/teikan/170301teikan.pdf

労災認定された傷病等に対して健康保険から給付を受けていた場合などについて、新たな通達を発出

傷病等に関する社会保険の保険給付については、会社に勤めている方の場合、業務上の事由・通勤によるものについては労災保険から、それ以外の事由(私傷病)によるものについては健康保険から給付が行われるという棲み分けがされています。
しかし、病院等で治療を受ける際、本来は労災保険で対応すべきところ、健康保険で対応。その結果、健康保険の給付が行われるといったケースも見られます。このような場合、健康保険から労災保険に切り替えることになるのですが、その際の取り扱いが変更されることになりました。

これまでは、「健康保険の給付を受けていた労働者に係る労災保険給付の取扱について」(昭和29年通知)により、次のように取り扱われてきました。
・労働者(患者)が、誤って健康保険から受けた給付分を健康保険に返還⇒改めて労災保険から給付を受ける。

これでは返還に係る労働者の負担が大きいということで、新たな通知が発出されました。
これによると、次のような取り扱いも可能となります。
・労働者(患者)が所定の手続を採る⇒返還を不要とし、労災保険と健康保険の間で調整する。
具体的には、労働者が労災認定をした労働基準監督署へ申出等をし、療養(補償)給付たる療養の費用のうち健康保険に返還すべき分の支払先として、健康保険の保険者の口座を指定(受領を保険者に委任)⇒口座振込が可能であることが確認できた場合、労働者の同意のもとレセプトの確認等が行われ、調整に係る金額を決定⇒労災保険と健康保険の間で調整を行うというものです。

新たな通知はこちらです。
<労災認定された傷病等に対して労災保険以外から給付等を受けていた場合における保険者等との調整について(平成29年基補発0201第1号)>
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170203K0010.pdf
<労災認定された傷病等に対して過去に医療保険から給付を受けていた場合における給付の調整について(平成29年 保保発0201第1号ほか)>
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170203K0011.pdf

大手コンビニで違法な減給

「大手のコンビニエンスストアの加盟店が、風邪でアルバイトを欠勤した高校生に対し、労働基準法で認められた限度を超える給料の減額を行っていた」というニュースが報道各社によって報じられています。

この会社の広報などによりますと、加盟店で、アルバイトの高校生が10時間欠勤したところ、欠勤分を減額した給料から、さらに10時間分が差し引かれていたということです。そして、給与明細には、「ペナルティー 10時間分9,350円」と手書きされた紙が貼られ、加盟店側は、「代わりの人を探さなかったペナルティー」と説明していたということです。同社では、「ペナルティーの理由が不適切で、減給の額も労働基準法に違反している」として、加盟店に高校生への謝罪と全額の返還を指示したということです。

労働基準法では、減給の制裁(ペナルティーでの減給)について、「1事案については平均賃金(その人の平均的な1日分の給与)の半額を超えてならず、複数事案のトータルでは賃金総額の10分の1を超えてはならない」とし、その制裁を制限しています。高校生のその月分のバイト代の総額は、2万3,375円だったようで、今回の減給額(9,350円)は、明らかに労働基準法に違反となっています。

経営者は、労働時間に関するルールのほか、賃金の支払いや減給の制裁に関するルール(いずれも、労働基準法に規定)についても知っておく必要がありますね。

〔確認〕制裁規定の制限(労働基準法第91条)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

大手ドーナツチェーンFC店長過労死 運営会社に4,600万円の賠償命令

報道各社によりますと、大手ドーナツチェーンの三重県内のフランチャイズ店長が過労による不整脈で死亡したとして、男性の遺族が、運営会社や同社社長らに損害賠償を求めた訴訟の判決が今月30日、津地裁であり、「長時間労働と死亡との間に因果関係がある」として、会社側の安全配慮義務違反を認め、同社側に計約4,600万円の支払いを命じたとのことです。

店長であった当時50代の男性は、2店舗で店長を務めるなどしていましたが、平成24年5月、通勤途中に致死性不整脈で死亡。所轄の労働基準監督署は平成25年7月に過労死と労災認定していたということで、男性が死亡するまでの約半年間、月平均120時間以上の時間外労働を続けていたとのことです。
また、裁判の中で、会社側は、男性が自己の勤務時間に裁量を持つ労働基準法上の管理監督者に該当すると主張し、会社は労働時間を適正に把握する義務を負わないと訴えたものの、裁判長に「勤務実態を考慮すると、管理監督者に相応する待遇を受けていたとは言えない」として退けられたと報じられています。

また長時間労働が引き金となった事件です。労働時間の管理は必須ですが、同時に管理監督者性の判断も重要ですね。過去にも管理監督者の範囲が問題となった事件がありましたが、それを契機に、厚生労働省は通達を発するなどして、その適正化などに力を入れています。

〔参考〕管理監督者の範囲などについて、確認しておきたい方は、こちらをご覧ください。
・「管理監督者」の範囲の適正化に関するQ&A |厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/faq_kanri.html

時間外労働の上限規制 月60時間、繁忙期は100時間で調整

今月28日、政府が働き方改革で検討する時間外労働の上限規制について、「政府が、残業時間の上限を月60時間(繁忙期は100時間)で調整している」という報道が流れました。

今後、来月1日の政府の働き方改革実現会議で具体的な議論を開始し、今国会への労働基準法の改正法案の提出を目指すとのことです。働き方改革実現会議において、議論に進展がありましたら、その資料などを紹介させていただきます。

<今回の時間外労働(残業時間)の上限規制改革のイメージ>
労働基準法における原則的な労働時間の上限は、1日8時間・1週40時間。
36協定を結ぶと、原則的な労働時間を超えた残業が認められる。
●現 行
・その残業時間は、「月45時間、年360時間」までとするのがのぞましい。
・労使間で特別条項を付ければ、1年のうち6か月までは残業時間に上限なし。
・36協定がある限り、長時間の残業を設定しても罰則なし。
●今回示された改革の方向
・その残業時間の上限を、原則として「月45時間、年360時間」と規定。
・その上で、企業の繁忙期に対応できるよう、1年のうち6か月までは例外を設け、「月100時間」、「2か月の月平均80時間」までの残業を認める。
・その場合でも、残業時間を「年720時間」、「月平均60時間」以内に抑えるよう義務づけ。36協定があっても、違反に対しては、罰則を科す。

page_top